1月17日、市川房枝記念会主催、慶應義塾大学教授金子勝氏の「世直しは可能か―日本の経済・財政」と題した講義を聞いてきました。私たちがしっかりと考えなければならない内容でしたので、要旨のみですがお伝えいたします。
1 小泉メディア政治の特徴
●重要な情報隠しやアメリカ情報の偏重。●善悪二分法で一方をバッシング、その後主題だけを繰返して大衆に刷り込み世論形成(例えば、郵政民営化)。●本質的な原因を追究して結果をだすということをしない。
2 小さな政府という呪文
(1)経済成長、(2)政官財の癒着がなくなる、(3)国民負担の軽減など、小さな政府のメリットが喧伝されているが、この3点は正しいか、成果が上っているかの検証が必要。レフェリーのいない政治は無責任となる(アスベスト、BSE、耐震強度偽装問題などは、規制緩和、官から民へ政策の流れの中から起きている)。
3 時代認識―何が終ったのか
90年代に入り戦後の仕組みが終った。
世界=国連、国際通貨制度の機能不全、
資源・エネルギー問題の不透明。
日本=産業発展のあり方、終身雇用の終焉(格差社会の出現)、補助金政
治の終焉(財政金融の破綻=約一千兆円の赤字国債を生む)
4 景気回復の中味
政府は大赤字をかかえているが、企業は200兆円の黒字。家計の貯蓄率は15%から7%に減少した現状は、
(1)
所得格差=上位20%と下位20%の所得比は、1980年代は10倍、1990年代は20倍だったのが、2005年は160倍になっている。
(2)
生活保護受給世帯=2000年は75万世帯だったが、2005年は104万世帯に増加した。そのうえ、今年から大増税期に入る。
これで景気は回復したといえるのか。グローバリゼーションの中で、バブルとバブル崩壊を繰り返している時代で、過剰な投機マネー(約300兆ドル)が世界市場を駆け回っている。
つまり現在は、私たちの記憶と経験のない時代なのである。過去の財政赤字解消の例としては、(1)戦争、(2)革命、(3)ハイパーインフレがあった。しかし、今を生きる私たちは、持続可能な社会を創ることこそが目的のはずである。大事なことは、時代認識を長いスパンで見られる歴史認識をもつことである。
・ ・ ・
私達は垂れ流されるメディアに惑わされることなく、広く正確な情報を集めて自分の頭で考え、行動することが生きる上でとても大事なことなんだと教えられました。
【金子勝教授の近著『2050年のわたしから―本当のリアルな日本の未来』(講談社)は、漫画入りで読みやすく、とても示唆に富んだ本です】